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時代の変化についていけないのは、いまも昔もつらいもの。近代化の進む明治を生きる元武士の子爵家から現代を照らす舞台「殿様と私」が上演される。主演の升毅が味わうのは、「自分が変われないことへの楽しさ」だ。
白河家の当主、義晃(升)は明治の中ごろになっても西洋文化になじめず、酒に溺れる日々。家臣だった雛田(松村武)を侮辱した相手に討ち入りをと憤るが、息子の義知(久保田秀敏)に、鹿鳴館でダンスを踊って逆襲することを提案される。
楽しいとは? 「殿様であることで、上から否定されず、頑固さやわがままが通る」。そんな役に居心地よく乗っかっている自分に、共感する人は多いとみている。
実生活ではパソコンを使えないなど、若者との違いを日々感じる。少年時代を過ごした1960~70年代は、生活がアナログだった。「便利すぎず、不便でもなかった。自然の中で遊ぶとか、限られた中でエンジョイをしていた」。急激な変化を体験した世代として、義晃の苦悩は腑(ふ)に落ちる。
作・演出のマキノノゾミは…